misc@Y − 日々の徒然

自転車、読書、ビジネスなどmiscellaneous(さまざまな)トピックスを記録しようと思います。

今年の春闘

 日本ならではの春闘という労働組合の横並び賃金交渉の季節がやってきた。

 今年は有利な為替に牽引されて、企業の業績が引続き好調なことと、若干の物価上昇が起こっていることから労組はベースアップを要求している。ベースアップとは、賃金を決めるパラメータが何ら変わらなくても、賃金があがる、なぜなら物価が上がっているから、ということだと簡単に理解。他方、過去の景気後退期、デフレ期にベースダウンということを行ったという話は聞かない。その時期に各企業は能力主義、成果主義の導入、企業業績は賞与に反映という方針で対応してきた。

 昔、労働運動が盛んだった頃のように、国内の同業他社との競争だけをを考えていれば良い時代なら、ベアの論理も他社との競争力関係に大きな影響を与えないが、現在の競争は日本の人件費の1/10−1/20というような国を相手にした競争環境なのに、将来まで人件費負担として恒久性の高いベア交渉をしていて大丈夫なのだろうか。

 その一方で景気下降局面では雇用の確保を訴えるのは虫が良すぎる気もするのですが。ひとりごとでした。

『経営は科学なのか』 野中 郁次郎

 本日の日経新聞夕刊のコラムに一橋大学名誉教授の野中郁次郎先生が『経営は科学なのか』というタイトルでコラムを書かれていた。

 これまで経営学は個別具体の事象を分析的手法を使い体系化することで経営を科学の一分野として確立しようと努力してきた。しかし、経営には人間の主観やその都度の文脈に依存する側面も重要であり、サイエンスとアートの総合が経営学の本来の使命だという論説である。

全くもってその通りだと思う。体系化された経営学の理論やケースは確かに経営のフレームワークを学び、実際のオペレーションの中でも必要な知識である。ただ、そのオペレーションを行っているのはヒトであり、様々な異なる考え方と価値観を持ったヒトとヒトがインターフェースしている上で会社がオペレーションされている。

 野中先生はコラムの最後に、経営は単なる利益最大化のツールではなく、「生き方」なのだと書かれている。とても重い言葉だと思います。

コーポレートガバナンス

 不二家は今回の事件で一瞬にして企業価値を大きく損ない、従業員の雇用、ファランチャイズの経営者に大きな不安を与えてしまった。同族経営を一概に悪いということはできない。創業初期はどこも志を一つにする近親者が集まって舵取りをすることも多いし、それによって発展した企業も多々ある。

 ただ、想像するに同族経営の企業では、社員は恐らく顧客を見るよりも、経営者を見るであろう。心理として経営者に近い立場の人ほどその傾向が強まるだろうと考えられる。もし、経営者が間違った舵取りをしても、それに物申す人がいないという状況、即ちコーポレートガバナンスの機能不全に陥る。

 不二家のケースでは、同族の経営者は保有株式から大きな配当を得るわけだから、倫理観よりも利益を優先するという企業文化が醸成されてしまっており、ガバナンス不在という状況だったのであろう。同族経営の企業こそ、経営トップが率先してガバナンスが機能するような仕組みを構築するべきであった。

 不二家は社長を交代させたが、一族が株式保有による実質支配を継続するような状態では、信用の回復は難しいのではないだろうか。

 不二家のコーポレートガバナンスに対する一考でした。

ホワイトカラー・エグゼンプションを考える

 最近ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)の導入が大きな話題となっている。取り上げられ方が「残業代のカット」「実質賃金の引き下げ」などといったマスメディアの取り上げ方もあり、非常にネガティブに捉えられているように思う。

 アメリカに5年ほど駐在したが、そもそも『残業代』という概念自体が存在していなかった。(あるにはあるが、ホワイトカラーに適用されることは極めてまれである。)他の先進国でもホワイトカラーに残業手当てが適用されることは少なく、グローバルスタンダードは管理職/非管理職であろうと年棒制である。

 日本企業でも管理職については実質的に年棒制としている企業は多いだろう。また、業界によっては管理職前の組合員にも裁量労働制を適用し、実質的にはWEと言える実態もある。

 ではなぜ、冒頭のようなネガティブな取り上げ方をするのだろうか。WEを導入する際に、個々の企業レベルで 1)給与体系、2)リソースの適正配置、3)評価制度、4)管理者の人事管理教育、等に手を打たないで導入するのであれば、確かに実態は何も変わらずただ残業代をカットするということになるであろう。このような状態では労働基準法違反となるだろうから、個々の企業は前述のような対策をしっかり行う必要がある。

 特に、管理職にはこれまで以上に、リソースを考えた適正な仕事の配分、部下のモチベーションと生産性の改善、評価制度の運用などの『本来的な管理者業務』の能力が求められ、強いストレスを感じる人も出てくるであろう。
 またWEの対象となる人も各人が意識改革する必要がある。

上記のような条件を整えた上で、WEを導入すれば決してネガティブに捉える必要は無い。グローバルな競争の中ではスタンダードなのだから。

 余談になるが、人事系のコンサルは引っ張りだこになるんでしょうね。
 

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