
『現場主義の競争戦略 - 次代への日本産業論』
藤本隆宏
新潮選書 2013/12
2015年5月17日 読了
本書の紹介文は以下のように書かれている。
『本社よ覚醒せよ――敗北主義でも楽観主義でもない、現場主義の目で見れば、日本経済の本当の力が見えてくる。数字だけの経営分析、根拠のない「製造業悲観論」を真に受けてはならない。「現場」は常に忍耐強く、沈黙の臓器のように能力向上を続けているのだ。熾烈なグローバル競争の中で、「何をやりたいか」より「何なら勝てるか」を考え抜く、現場発の日本産業論。』
感想
これまでに藤本先生の本は、『能力構築競争』『ものづくり経営学』を読んでいるので、これが三冊目。ものづくりの実証経営学を研究・実証とされるので、The ものづくりのような業界・領域で仕事をしている身には非常にわかりやすく、しみじみ感を持って読むことができます。
講演録をもとに編集された本であり、語られることはこれまでの著書でも書かれている内容と変わらないと思う。リーマンショック・東日本大震災を経てますます強靭な日本の製造業の強さを語り、日本の製造業、特に現場はまだまだ競争力があると勇気づけるメッセージだと捉えることができます。
VWとトヨタの比較分析など、業界に身を置いていれば、ふんふんと頷くことも。
著者は日本の自動車産業の現場力、なかんずくトヨタを礼賛されているように思えます。
10年後、20年後のクルマの開発・生産がどうなっているのか、海外での生産台数が圧倒的に多くなったなかで、この日本の擦り合わせによる競争優位を保つことができるのだろうか。保てるようにしないといけないのです。最後は本を離れた思いですが。
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- 2015/06/06(土) 21:31:02|
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