読書日記 『戦略的思考の技術−ゲーム理論を実践する』

『戦略的思考の技術 −ゲーム理論を実践する』
中公新書
著者: 梶井 厚志
【内容】
自分の利害が、自分の行動だけでなく、他人の行動によってどう左右されるか、という状態が戦略的環境であり、その分析ツールがゲーム理論である。ビジネス交渉はもちろん、バーゲンでの買い物や合コンの席順といったことまで私たちは他人の行動を織りこみつつ戦略を立て実行しているのだ。本書は身近な話題をふんだんに使い、コミットメント、シグナリングなどゲーム理論のキーワードを解説しながら読者の戦略的思考を磨く。
1 戦略的思考のススメ―戦略的思考の基礎(戦略、先読みと均衡、リスクと不確実性)
2 考えるヒント―戦略的経済分析のキーワード(インセンティブ、コミットメント、ロック・イン、シグナリング、スクリーニングと逆選択、モラル・ハザード)
3 戦略的に解く身のまわりの経済学(値引き競争、オークション)
【感想】
この本は、ゲーム理論を身の回りの具体的な事象で平易に解説している。特に2部、3部では身近な事象を題材に、ゲーム理論のエッセンスを数値例なしで解説しているので、「なるほどそういうことだったのか」と理解させてくれる。
この本でゲーム理論自体を理解できるとは考えないほうがいい。ただ、自分が行う日常の判断やビジネスの意思決定が、それなりに戦略的思考をとりながら行われているということを知るだけでも興味深い。
なるほどと思った一つに、家電量販店の「他社より1円でも高い場合は値引きをします」という宣伝は,戦略的な見方をすると実は顧客へのメッセージではなく,「当社は価格競争をしたくありません.他社が価格競争を挑まない限り当社は価格を維持します」という他社へのコミットメントと見なすことができるという著者の指摘がある。

