読書日記: 『個人主義とは何か』

お正月休みに読みましたが、頭が筋肉痛になる類の本です。そういう思索の時間を求めている方にはお薦めです。
出版社:PHP新書
著者:西尾 幹二
評論家、ドイツ文学者。1935年東京生まれ。東京大学文学部独文科卒業、同大学大学院文学修士、文学博士。ニーチェ、ショーペンハウアーの研究、翻訳を出発点とし、文学、教育、政治、国際問題など幅広いテーマをめぐる旺盛な評論活動を展開。近年、その主要な関心は、明治以後の西洋中心史観を排した新たな日本史像の確立へと向かっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
【概要(本書カバーより)】
グローバリゼーションが進む現代もなお、日本人は西洋の価値観に囚われているのではないだろうか。われわれが用いる"個人"や"自由"といった周知の概念が、そもそもは「輸入品」である。本書では、日本特有の個と社会のあり方について、諸外国の文化と比較して考察する。いまも強い訴求力をもって読者に迫る、人間の懐疑と決断を真摯にみつめた思想家の原点。
一九六九年の発刊以来、五十版近くを重ねた名著『ヨーロッパの個人主義』がよみがえる。復刊にあたり、新たに三十ページを加筆した完全版。
【目次】
第1部 進歩とニヒリズム(封建道徳ははたして悪か;平等思想ははたして善か;日本人にとって「西洋の没落」とはなにか)
第2部 個人と社会(西洋への新しい姿勢;日本人と西洋人の生き方の接点;自分自身を見つめるための複眼;西洋社会における「個人」の位置;日本社会の慢性的混乱の真因;西欧個人主義とキリスト教)
第3部 自由と秩序(個人意識と近代国家の理念;東アジア文明圏のなかの日本;人は自由という思想に耐えられるか;一九六八年の危惧—旧版あとがき)
第4部 日本人と自我(日本人特有の「個」とは;現代の知性について—あとがきに代えて)
【感想】
第一部から第三部までは講談社現代新書として1969年に発刊されており、今回第4部が加筆されてPHPから新書で発刊された。本来、新書はこのような内容の評論を多く納めていたのだろう。1969年当時、著者が33歳でこの思想書を執筆したことに驚いた。内容、文体ともにかなり高度(少なくとも自分には)であり、哲学、宗教の若干の知識がないと容易には理解できないのではないでしょうか。自分は何度も同じ文章を読み返すこともありました。
著者自らも書いているように、大学入試問題に引用されることも度々あるようで、まさに大学入試の難しい評論文を265ページ読んだということで精一杯でした。
氏の考え方に対しては様々な見方があるようで、それは各々が判断すれば良いのだと思います。
40年経って、インターネットの普及や経済のグローバル化で日本とヨーロッパの距離感は変わっている。根源的にはヨーロッパと日本における「個と社会のつながり」の違いは変わらないのだろうが、自分自身の感受性の低さゆえ、著者が述べているレベルでの差を実感できていないような気がしました。

